Tokyo Rent Desk

ガイド外国籍の方向け

外国人歓迎の賃貸、何が違って何が同じか。

東京で外国籍の方が部屋探しを始められる際、「貸してくれるオーナーがなかなか見つからないのではないか」というご不安を伺うことが少なくありません。実際の都心の市場は、その印象とはかなり異なります。多くのオーナーが現在では外国籍の方の入居を受け入れており、申込から契約までの流れも整備されており、日本人の方の手続きとの違いはわずかです。一部のオーナーが慎重な姿勢をとられる場合、その背景にあるのは多くの場合、緊急時の連絡や家賃支払いの確実性、中途退去のリスクといった運用上の懸念であり、個人的な感情によるものではありません。家賃保証会社の制度とバイリンガル対応の仲介会社が、これらの懸念をひとつずつ解消してきたことが、ここ十数年で状況が大きく変わった理由です。本ガイドでは、現在の都心の賃貸市場で外国籍の方の申込みが実際にどう進むのか、日本人の方と同じ点・異なる点、そして審査をスムーズに通すための申込書の整え方をご説明します。

2026年5月6日10分で読めます

法的な位置づけ(簡単な整理)

現在の日本には、私人間の賃貸借契約において、オーナーが国籍を理由に入居を拒否することを直接禁じる個別の法律はありません。住宅は日本の差別禁止法制の対象範囲に含まれておらず、米国のFair Housing Actのような包括法も存在しません。

ただし、いくつかの裁判例では、合理的な理由なく外国籍の方の入居を一律に拒否することは、民法第90条の公序良俗に反すると判断されており、損害賠償請求の対象となりうるとされています。代表的な判例は1993年の大阪地裁判決で、その後も同様の判断が続いています。国土交通省も、賃貸住宅における国籍を理由とした差別を解消するためのガイドラインを発出しており、東京都など複数の自治体には住宅分野に及ぶ差別解消条例も存在します。

実務上の帰結としては、オーナー側に正当な理由(書類不備・保証会社審査の不通過・契約期間と在留期間のずれなど)があれば個別の申込みをお断りすることは可能ですが、外国籍であることのみを理由とする一律の拒否は、オーナー側にとってもリスクが高く、都心の物件では年々まれになっています。

なお、本ガイドは一般的な情報提供を目的としたものであり、法的助言ではありません。具体的な事案については、弁護士など有資格者にご相談ください。

なぜ一部のオーナーは慎重なのか

オーナーが外国籍の方の申込みに慎重な姿勢をとられる場合、その理由はほぼ必ず運用上の懸念であって、個人的なものではありません。代表的なものは次の3つです。

ひとつ目は、緊急時の連絡です。深夜に水漏れが発生した場合などに、管理会社が日本語で入居者と連絡を取れる必要があります。バイリンガル対応の体制をお持ちでない年配のオーナーが、言語の壁で対応が遅れることを懸念されてきた経緯があります。バイリンガル対応の仲介会社が継続的な窓口となることで、この懸念は解消されます。

ふたつ目は、家賃支払いの確実性です。短期の在留資格で、来日して間もなく、日本国内での就業実績がまだない方は、データだけ見ると長期在職の日本人申込者に比べてリスクが高く映ることがあります。家賃保証会社が家賃債務を引き受けることで、この懸念そのものが構造的に解消されます。

みっつ目は、中途退去のリスクです。海外赴任、ご家族の事情、在留資格の期限などにより、外国籍の方の退去が比較的早かった時期の経験が、業界の記憶に残っています。近年は外国籍の方の在住期間も長期化していますが、契約期間を在留期間に合わせて設定することで、この懸念に配慮されるオーナーも安心されます。

これらの懸念は外国籍の方に固有のものではありません。地方から上京されたばかりの若い日本人会社員の方も、同じ懸念のいくつかに直面されます。違いは、これらを解消するための仕組み(特に家賃保証会社とバイリンガル仲介)が、外国籍の方のケースを念頭に整備されてきたため、その文脈で最も目立つだけです。

家賃保証会社が構造的な解決策

20年前は、すべての日本の賃貸契約に「連帯保証人」が必要でした。日本国籍の保証人、通常はご家族や勤務先の方に、家賃滞納時の支払いを書面で約束していただく必要があったのです。日本に親族のおられない外国籍の方にとって、これが部屋探しを難しくしていた最大の制約でした。

現在の家賃保証会社は、この連帯保証人の役割を完全に代替します。入居者の方は初回利用料(家賃の50%前後)と毎年の少額の更新料をお支払いになる代わりに、家賃滞納時には保証会社が家賃を立て替えます。都心の仲介会社の多くは、現在では国籍に関わらずすべての入居者に保証会社のご利用をお願いしており、結果として日本人の方も外国籍の方も、同じ条件で審査の入り口に立つことになります。

保証会社自身は、申込者ごとに簡易な審査(信用情報・書類確認)を行います。外国籍の方の場合、在留資格・在留カード・就業証明・直近の銀行残高などを確認するのが一般的です。審査結果は通常1〜3営業日でお知らせがあり、安定した在留資格と確認可能な収入をお持ちの方であれば、承認率は高い水準にあります。

実際に必要な書類

都心エリアで外国籍の方が申込まれる際の標準的な書類セットは、シンプルで安定しています。お問い合わせの段階で揃っていると、審査がスムーズに進みます。

書類内容備考
在留カード現在のカードの表面・裏面在留資格と有効期限を確認します
パスポート顔写真ページ在留カードでご本人確認が完結する場合は省略されることもあります
雇用契約書または直近の給与明細雇用主からの書面、契約書、または直近3ヶ月分の給与明細金額の絶対値より、収入の安定性が重視されます
銀行残高証明直近1〜3ヶ月分初期費用を上回る預貯金残高をお示しいただきます
在職証明書会社のレターヘッド付き給与明細単体より説得力が増します。新規入社の方には特に有効です
課税証明書区役所等で発行給与所得者以外の方が、給与明細の代わりに提出される場合があります
(任意)推薦状前のオーナー、もしくは日本人のご同僚や勤務先の方から日本国内の信用履歴がまだ少ない方には有効です

来日6ヶ月以内の方には、「在職証明書+直近の銀行残高証明」の組み合わせが最も効果的です。課税証明書は日本で1年以上の納税実績がないと発行されないため、来日直後の方には適用されません。

申込書の整え方

申込書類の出し方は、その内容と同じくらい重要です。バイリンガル対応の仲介会社経由で整理された申込みは1〜2日で承認されることが多く、書類が1週間かけて少しずつ揃うような申込みは、その間に他の申込者に物件を取られてしまうことが少なくありません。

外国籍の方の申込みを日常的に取り扱っている仲介会社をご利用ください。担当者がオーナー・管理会社・保証会社と事前に懸念点をすり合わせ、管理会社が想定する書式で申込書を整えて提出し、入居後の緊急時対応にも継続的に窓口として対応します。これが、ご自身でできる最も大きな実務上の有利材料です。

余裕をもってお申込みください。ご希望の入居日まで2〜4週間あれば余裕がありますが、1週間を切ると厳しく、数日では成立しないことがほとんどです。都心のお申込みは、提出から契約締結まで通常3〜7営業日かかります。

お問い合わせの段階から書類をご準備ください。オーナーや保証会社に対して最も強い印象を与えるのは、必要書類が揃った状態で当日中にお出しいただけるという「準備の良さ」です。

保証会社のご指定については柔軟にお考えください。建物ごとに提携している保証会社が決まっている場合があり、別の会社をご希望されると審査が滞ることがあります。特別なご事情がない限り、仲介会社のご案内する保証会社をご利用ください。

最近来日された方は、英文の履歴書と短い添え状をお付けいただくのも有効です。エグゼクティブクラスのお客様にとって、これは「短期滞在者ではなく安定した職業人からのお申込みである」ことを示す意味のある信用情報となります。

実は不要なもの

古いガイドブックには記載があっても、2026年現在では実質的に必要なくなっている要件がいくつかあります。これらを揃えようとして時間を費やす必要はありません。

  • 日本国籍の連帯保証人:保証会社が完全に代替しており、都心の仲介会社の多くはすべての入居者に保証会社のご利用をお願いしています。
  • 日本語の能力:仲介会社がオーナー・管理会社・保証会社との連絡をすべて代行いたします。お申込み時から入居後の対応まで、英語のみで完結します。
  • 永住権:通常の就労ビザで都心の物件の大半にお申込みいただけます。在留期間が契約期間を十分にカバーしていれば問題ありません。
  • 日本国内での長い信用履歴:保証会社が家賃債務を引き受けますので、オーナー側で信用評価を独立に行う必要はありません。
  • 日本企業への所属:外資系企業で日本国内給与を受け取っておられる方、確認可能な収入のある自営業の方も、書類が整っていれば通常通り承認されます。

ここまでお読みいただいた方は、東京での部屋探しに必要な視点をおおむね掴んでいらっしゃることと思います。次のステップは、書類を揃えてお送りいただくことではなく、まずは一度ご相談いただくことだと考えております。お一人おひとりのご状況は少しずつ異なりますので、最初にお話を伺ったうえでご案内するほうが、書類先行で進めるよりも結果的にずっとスムーズです。ご希望の概要をお知らせいただければ、改めてこちらからご連絡いたします。

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